2010年09月10・11日に奥穂高岳を経由して西穂高岳まで周回してきました
3,000m峰全21座は制覇しましたが、番外としてジャンダルム3,163mを残しています。
ジャンダルムは西穂高岳と奥穂高岳の間にあり、日本の一般山岳ルートの中では最難関ルートと言われ、実際年に数人は滑落して命を落としている。〝山と高原地図〟ではルートが破線で引かれていて、去年は山岳救助のヘリが墜落しニュースになっていた。
最初から目標として3,000m峰+ジャンダルム3,163m制覇を掲げていたので、フィナーレとして、このジャンダルムに登るための計画を立てる。計画を考えている時間が凄く楽しくて、仕事の合間に現実逃避したりなんかしています!^^
ルートとしては、
・西穂高岳⇔ジャンダルム⇔奥穂高岳
・エスケープルートとして天狗のコルから岳沢に下ることも可能。
条件としては
・もちろんジャンダルムを登る事。
・お金節約のため1泊2日で行程が組める事。
・西穂高岳も登る事。
この条件なので、岳沢経由は除外。
スタート地点の決め手は、今年3000m峰制覇でお金を使いすぎたので、安価なルートを選ぶ。
上高地経由だと、駐車場料金が500円/日とバス代往復2000円必要で、これだけで3000円が必要になるが、新穂高ルートは途中の安房トンネル通行料が現在無料だし、無料駐車場もあるので新穂高をスタートに決定。(登りか、下りで新穂高ロープウェイ代1500円は必要)
続いて、西穂山荘・穂高岳山荘のどちらに前泊してから登り始めるかの選択。
◆西穂山荘前泊の場合
新穂高ロープウェイを使い1時間30分ほど登れば西穂山荘に到着しますが、次の日
西穂山荘→(C.T3:00)→西穂高岳→(C.T6:30)→奥穂高岳→(C.T6:30)→新穂高で、C.T15時間となりこれではあまりにも行動時間が長すぎる。
◆穂高岳山荘前泊の場合
初日、新穂高→(C.T9:00)→穂高岳山荘までの行程が長いが、次の日が楽になる。
穂高岳山荘→(C.T0:50)→奥穂高岳→(C.T5:30)→西穂高岳→(C.T2:10)→西穂山荘→(1:30程度)→新穂高で9時間程度の行動時間で下山出来ます。2日間の行動時間のバランスが良くこちらに決定。
更に大きな要素として、ジャンダルムに到着する時間が早いため、頂上で雲により視界が遮られる可能性が少ないことも決め手となっています。
★行程★
1日目 新穂高 → 蒲田右俣林道 → 白出沢出会 → 重太郎橋 → 鉱石沢 → 荷継沢
→ 穂高岳山荘(泊)
2日目 穂高岳山荘 → 奥穂高岳 → 馬ノ背 → ロバの耳 → ジャンダルム
→ コブ尾根ノ頭 → 畳岩尾根ノ頭 → 天狗のコル → 天狗ノ頭 → 間ノ岳
→ 西穂高岳 → 西穂山荘 → 新穂高ロープウェイ → 新穂高
土日に登る予定だったが、日曜日の12日は天気が崩れる予報が出て、流石に雨の中でのジャンダルムは無理と判断し、急遽10日に有休を使い10日(金)と11日(土)で登る計画に変更した。高速道路1000円は使えないが、穂高岳山荘も平日なら空いていそうなのでよしとする。
9日(木)はPM7:00まで残業をして自宅に戻り、夕飯を食べお風呂に入り、PM10:00に自宅を車で出発~!
中央高速八王子I.Cから乗り松本I.Cを目指す。
途中で強烈な睡魔に襲われ、S.Aで2時間仮眠し、結局新穂高の無料駐車場に着いたのはAM4:00過ぎで、穂高岳山荘まで5・6時間と判断し、AM6:00に出発出来る様に目覚ましを掛け車の中で仮眠。
でも登りはスルーして林道をに向う。
蒲田右俣林道を歩きスタート!
ありゃ??なんだこの即席の歩道は???
近道って書いてあるので遠慮なく使わせていただく。
更に夏道を通って穂高平小屋に出て林道歩きが続く。
顔に大きな絆創膏を何枚も貼り付け、固まっていたが顔から流血の跡が・・・・それを見て危険なルートなんだなー!と改めて無事に帰れるように身を引き締める。
緩やかな森林浴の林道
途中の砂防ダム。先を2人が歩いている。
白出沢出会に到着。
私の前を単独の方と男女ペアの3人が歩いていたが、3人とも槍のほうに向かい、
私だけ穂高に向う。チョット寂しい・・・・
くもの巣に苦しめられながら樹林帯を1時間ほど歩くと重太郎橋に到着!
対岸に渡り梯子を登って岩を削った水平道を歩く。
チョッと危ないが、山側に重心を移動させながら通れば問題無し。
但し、落石が一番怖いので、足早に通過する。
水平道が終わると鉱石沢に出て、対岸に渡り再度樹林帯のジグザグな急登が始まる。
途中はジグザグに登り、梯子を使い高度を上げて行く。
木の枝も利用した梯子!
樹林帯を抜けると荷継沢に出る。ココからが白出沢核心部のガレ場登りになる。
振り返ると谷間の間から笠ヶ岳が見えている。
荷継沢の上部を見上げるが、穂高岳山荘はまだ見えない。
途中に大きな雪渓が現れるが、左端の僅かな雪渓の切れ間を通れば
雪渓の上を歩く事はない。
去年同じ時期に下りで通っているが、去年より雪渓が大きい。
雪渓を過ぎると、ようやく穂高岳山荘が遙か上の方に見えてくる。
しかしココからが時間が掛かる。
登れど登れど近づかない穂高岳山荘もようやく手が届く距離に近づいてきた。
お昼にようやく穂高岳山荘に到着!
まずは小屋でビールを買い、表の石の上でラーメンを作って食べる。
更にビールを買って明神岳・常念岳・蝶ヶ岳と記念撮影!
涸沢岳は2回登っているので今回はパス。
自炊場で夕飯の準備しながら、本日西穂~奥穂間を歩いてきた年配のご夫婦と山談議をして過ごす。
夕飯の後は豊富な山の本を暖炉の前で読みながら時間を潰し、8時頃に寝た。
出口の扉がガタガタと音を立てて、外は結構風が強い。
でも天気は沢山の星が出ていて文句なし♪
小屋の前では団体さんが暗闇の中体操を始めている。
身支度を整えグローブを着けて、いきなりの岩登りに対応する。
穂高岳山荘から奥穂高岳に向けては、いきなり岩登りと梯子から始まる。
途中小屋前で体操をしていた団体さんを抜かす。
重太郎新道を通って下山の様子。
奥穂高岳頂上
朝日を奥穂高岳で迎える。今日も良い天気になりそう♪
振り返ると、丁度ジャンダルムに朝日が当たり始めていて幻想的な感じ。
それでは、出発しませう
歩き始めると、いきなり核心部の〝馬ノ背〟が牙を剥く。
馬ノ背に跨り撮影しているが、間違っても立ち上がって撮ることは出来ません。
更に進んでもう一枚。
核心部の馬ノ背を通過後に振り返ると2人がアタック中。
岩にペンキで〝ウマノセ〟と書いてある。
続いてロバの耳を攻略するため、急斜面の鎖場登って行く。
今までの山であれば、鎖は使わなくても登れたが、西穂~奥穂間は甘くない。
鎖を使わなければ登れない場所が何箇所もあった。
ロバの耳を通過後、ジャンダルム取り付きから後を振り返る。
エーッ!どこを通って降りるんですか~???
今となってはどこを通って降りてきたか思い出せない・・・・・
(ロバの耳からの下り)
アップにするが良くここを降りてこれたと感心します!
狭い登山道を進んでジャンダルムに向う。落ちたら命は無いな!
西穂側に回りこみジャンダルム頂上に立つ事が出来た。
エンジェル健在。
30分ほど撮影してジャンダルムを下り振り返る。
コブ尾根ノ頭にテント1張り分のスペースがある。
コブ尾根ノ頭からの下り
畳岩尾根ノ頭から西穂高岳・焼岳方向を撮影!
更に西穂高岳と焼岳をアップ!
畳岩尾根ノ頭からの降りだと思います。記憶が・・・
畳岩尾根ノ頭からの降り途中から笠ヶ岳を見る。
更に天狗のコルを目指して降りていると、単独の方と遭遇。
西穂山荘からだとあまりにも早いなーと思っていると、
岳沢小屋から出発してきた人。
天狗のコルが見えてきた。
天狗のコルに向う途中にテント2個分の整地された場所がある。ビバークできそう。
天狗のコルに到着~!奥穂~西穂間の中間地点。
エスケープルートとして岳沢小屋に降りる事も可能。
2007年岳沢ヒュッテが雪崩で倒壊して、今年から新たに岳沢小屋が開業した。
岳沢小屋から登ってくる2人が見える。
天狗ノ頭に向けて直登する。
いきなり直登の鎖から天狗ノ頭への登りが始まる
天狗ノ頭手前の岩だらけのピーク。この裏側に天狗ノ頭がある。
ホントに岩だらけー
天狗ノ頭に到着
天狗ノ頭から西穂側に下るには、逆層スラブを下って行く。下に見える暗部が間天のコル。
逆層スラブを下る。鎖が付けられているので問題なく通れる。
間天のコルから逆層スラブを見上げる。
間天のコルから間ノ岳への登り、何時岩が落ちてきてもおかしくない状況。
間ノ岳に到着。岩の上にペンキで山の名前が書かれているだけのピーク。
間ノ岳から来た道を振り返ると、真中に天狗ノ頭、奥にはコブ尾根ノ頭まで見渡せ、
右の尾根は奥穂高岳から伸びる吊尾根。
間ノ岳からP1ピークの間にあるピークかな?(記憶が定かではない)
年配の女性3人がガイドに確保されながら登ってきた。
P-1の登り!岩だらけ~
P-1に到着。これが最後のピークで、次のピークは西穂高岳。
ココで西穂高岳からこの難関ルートを偵察に来た若い女性としばし山の話で
盛り上がりました、経験を積んでそのうちこのルートも挑戦するそうです。
ようやく西穂高岳に到着。頂上には15名ほどの人がいて賑わっている。
西穂からの下りでまずはチャンピオンピーク
続いてピラミッドピーク
上高地側を見下ろす。中央が河童橋付近
更に下ると独標
西穂高岳を登る人と沢山すれ違う。若い人から相当な年配の方まで
登山ブームってことが肌で感じられる。
当然山スカートの女子にも沢山遭遇した。
最後に丸山
西穂山荘に到着し、お決まりのコーラを頂く。ココまでであれば軽装でも難なくこれる!
西穂山荘から新穂高ロープウェイまでの下り。
途中で家族連れで登る5歳位の女の子に声を掛けました
私:こんにちは~もう少しだから頑張れ~
女の子:もう少しじゃ判らないー!時間で言ってよ~!あと何分???
と詰め寄られた・・・
私:チョッと判らないな~
女の子:モー(怒)
お昼前に新穂高ロープウェイに到着。ココからは急に別世界の観光地になる。
【雑感】
楽しかったの一言!
私の場合〝案ずるより生むが易し〟でした。
近いうちにまた来たい。次回はもう少しゆっくりとじっくり味わいたいですね~
ココまでのコメント・感想はあくまで私個人の主観であり、人によっては2度と行きたくないなど、大きく変わりますので、自分で判断し安全な登山をお願いします。
北アルプスの縦走路の中でも一、二を争うといわれる難コースである。充分な登山経験を積み、技術、体力、判断力を身につけた人でなければ行くべきではない。
近年、安易な気持ちでこのルートに挑む登山者が増加し、大きな事故が続発している。すぐれたリーダーか、プロガイドを伴うことをお薦めする。
難コースと呼ばれる所以は、山行時間が長い・エスケープルートが天狗のコルから岳沢へ下りるルートだけである・浮石が多い・天狗岳附近の逆層スラブは濡れていると滑りやすい・両サイドにスッパリ切れ落ちたヤセ尾根が多く滑落すれば致命傷等、数えあげればきりがない。
難しいが故に縦走し終えた時の達成感は他に比し難いものがあり、“アルピニスト憧れの縦走路”といわれるのも頷けるが、何よりも安全が第一。天候・体調が悪ければ出直すのがエキスパートと呼ばれるに相応しい登山者だ。また来れば良い。