登山日:2020年8月7~9日
前回の2016年に「大台ケ原」(日出ヶ岳)に登った時は百名山達成のため、大台ケ原ドライドウェイから頂上に立った。 しかし頂上直下まで車で行き10分登っただけで頂上に立てた事に非常に違和感を感じていて、いつかは大杉谷を通って「日出ヶ岳」を目指そうと決めていた。 本来であれば今年のG/Wに行こうと考えていたけど、新型コロナの影響で自粛を余儀なくされたため、夏休みを利用して登ってきた。
大杉谷(おおすぎだに)
近畿の秘境とも呼ばれ、黒部峡谷、清津渓谷とともに日本三大渓谷、日本の秘境百選の一つにあげられている。日本の滝百選である七ツ釜滝を筆頭に、手付かずの原生林と数多くの滝、渓谷の巨巌で著名である。
豊富な森林資源は1629年~1789年まで伊勢神宮の式年遷宮で使われる木材を切り出し、大雨や台風の時に下流まで流していた。
2016年(平成28年)3月にはユネスコの生物圏保護区(ユネスコエコパーク)「大台ケ原・大峯山」が拡張され、大杉谷もその一部となった。
2004年の水害で、宮川沿いの登山道は6年間通行不能であったが(大台ケ原から大台林道までは当時でも通行可能)、2010年10月から堂倉滝・七ツ釜滝間以外は通行可能になり、2012年8月11日から不通区間手前の粟谷小屋・桃の木山の家間について大台林道等を迂回する林道コースが開設され、大台ケ原-宮川第三発電所間の通行が可能になった。その後2014年4月、光滝付近の崩壊箇所の登山道が整備され、全線開通となった。
ポイント
と絶賛している。
【登山ルート】
今回の登山はゆくっりと時間をかけて登るつもりで、2泊3日掛けて「大台ケ原」(日出ヶ岳)まで大杉谷を往復する。
夏休みが始まる8月7日0:00に今回同行するM氏に私の自宅まで車で迎えに来てもらい、500km先の大杉谷登山口に向けて出発。
途中で運転を交代しながら紀勢自動車道の大宮大台I.Cで降りコンビニに寄り朝飯と行動食を買い、宮川発電所近くの大杉谷登山口駐車場に7:30頃到着。
登山準備を整えて8:00出発。登山口から日出ヶ岳までの標高差は1400mあるが、本日のお宿桃ノ木小屋までの標高差は200mしかない。
登山道は宮川沿いに進む。ダムの横を抜け鉄柵の門を開いて登山道に入る。 大日嵓と呼ばれる岩をくり抜いた登山道を進む。黒部川の下ノ廊下の登山道を連想させる。宮川の水の色がエメラルドグリーンで美しい。登山道は谷のために風が吹かず蒸しているので飛び込みたくなる。
能谷吊橋・地獄谷吊橋を越えて進むと最初の見どころ「千尋滝」落差135mに到着。尾根の上から落ちてきているので不思議な感じのする滝だ。さらに進むと「シシ淵」に出る。巨岩と樹林に囲まれ、渓谷の奥には「ニコニコ滝」という大瀑布が水しぶきを上げながら轟く。美しさとダイナミックな自然を感じられる。
シシ淵で1時間ほど休憩し先に進むとすぐに先ほどのニコニコ滝を正面から眺め、更に進むと大岩壁の平等嵓という巨岩と、それを見渡す平等嵓吊橋が現れる。
平等嵓を過ぎて30分ほど進むと桃ノ木小屋に到着。まずは受付前に冷たいビールを飲む!旨し♬
桃ノ木小屋はお風呂が設置されているので汗を流す。布団は大きく間隔をあけてありソーシャルディスタンスも完ぺき。
8日の行程は粟谷小屋まで行き、ココに荷物を置いて大台ケ原のピーク日出ヶ岳まで登りまた粟谷小屋に戻って宿泊の行程。
桃ノ木小屋を出発してスグに日本の滝百選に選ばれる七ッ釜滝に出会う。更に進むと私的には一番のハイライトの大崩壊地に辿り着いた。尾根が丸ごと崩壊した感じの場所で大きな岩は家一軒ほどもあり規模の大きさが判る。岩を隙間を縫うように進むように登山道が作られている。
大崩壊地を過ぎると光滝・隠滝・堂倉滝まで辿り着くと、宮川を離れ急登が始まる。1時間ほど登ると林道に出てほどなく粟谷小屋に到着した。無駄な荷物を小屋に置き軽くし日出ヶ岳を目指す。1時間40分ほどで日出ヶ岳頂上に到着。頂上直下まで車で来れるため子供やお年寄りなど沢山の人がいた。20分ほど休憩し、下山開始して1時間後粟谷小屋に到着。
この小屋は全てが数人単位の個室になっていた。ココにもお風呂が設置されている。水と薪が豊富にあるからだろう。小屋の近くを散歩していたら片足の熊に遭遇した。
9日は同じ道を下って登山口まで戻った。
登山口で着替えて「奥伊勢フォレストピア奥伊勢宮川温泉」を目指して出発すると、スグに粟谷小屋で泊まっていた若い女性が道路を歩いていたので事情を聴くと、8km先にある大杉谷登山センターのバス停まで歩くと言うので、ついでに「奥伊勢フォレストピア奥伊勢宮川温泉」まで連れて行ってあげた。帰りは渋滞もなくスムースに自宅まで辿り着くことが出来た。
今一だけどダイジェスト版を作ってみました。。
粟谷小屋で片足の熊と出会った~
大杉谷登山口駐車場。心配をよそにガラガラだった
山深い。I.Cを降りて40km走ってやっとたどり着く。
ダム湖だけど水は少ない・・・
登山道近くのトイレ。以外と綺麗で紙もあった
宮川第三発電所
同行者M氏。山初心者で山小屋泊は始めて!
桃ノ木小屋を目指して登山スタート
鉄の柵を開いて入場する。
黒部峡谷の下ノ廊下に似ているがこちらの方がだいぶ歩きやすい
宮川。水の色がキレイ
最初の吊り橋「能谷吊橋」を渡る
続いて地獄谷吊橋
意外と揺れる
今までの山ではあまり見かけない内容の書かれた看板
苔も豊富でス
雨量計。この辺りは屋久島と並び日本で一番雨が降る。
東京の1年分の雨が1日で降ったことがあるらしい。
3本目の吊橋「日浦杉吊橋」。
立派な吊橋。ありがとうございます!
東屋到着
千尋滝落差は135m
この場所から見るとどこから水が集まってくるのか不思議な感じがする。
渓谷を削って作った道
シシ淵到着!
手前のせり出した岸壁と奥に見えるニコニコ滝とを合わせた景観が素晴らしい!
日光の入り具合で更に綺麗に見えるんでしょうね!
登山道の所々に扉があるのは、2004年の水害で登山道が閉鎖された時の名残か?
ニコニコ滝を正面から見る。落差130m
平等嵓吊橋
平等嵓を撮ったけどこの画像からは大きさが伝わってこない。
17mの広角で撮ってるんですけどね。。。
平等嵓吊橋を渡り切って撮影。たしか大杉谷で一番長い吊橋。
熊野・吉野 国立公園「大杉谷」
桃ノ木吊橋を渡って「桃ノ木小屋」到着
凄い所に小屋を建てたもんだ。
ヘリからも資材を下ろしにくいし、人力でも難しい。多分小屋の近くの木を伐り出して建てたんだろう
手続き前に一杯!
川沿いを歩いてきたけど蒸してて汗を掻いたのでビールが旨すぎる~♬
おや!手前の岩に鳥が・・・
拡大すると「サギ」でした
手続き後に川まで降りて涼む。
寝床。ソーシャルディスタンス完璧。
午後3時からお風呂に入れる。めっちゃ気持ち良かった~
夕食。旨かった~♬ ご飯のみお替り自由。
カツとエビフライですよ!
桃ノ木小屋に張ってあった行程表。
8日スタート。石垣がキレイに積んである。
昔トロッコ電車が通っていた名残か?
七ッ釜滝の東屋到着
日本の滝百選に選ばれた「七ッ釜滝」
スリリングな登山道を進んで行く。
七ッ釜滝上部の吊橋
ココを降りて七ッ釜滝上部に行けるらしい。
キタ――(゚∀゚)――!! 大崩落地。すさまじぃー!下側の岩は家ほどもある巨岩。
渓谷の成り立ちを見ているようだ。この岩が水に浸食されて少しずつ小さくなり、大雨で流されて渓谷を作って行くのでしょう。
光滝
隠滝吊橋。隠滝と言うだけあって音は聞こえるけど姿は見えず!
何のための扉なんでしょうね?
またまた岩を削った道。
「堂倉吊橋」
吊橋ちょと飽きてきた。。。
堂倉の取水場
最後の堂倉滝吊橋を渡り始めると見える堂倉滝
これより先は宮川を離れ急登が始まる。
1時間ほど急登を登ると林道に出た
林道を少し歩くと粟谷小屋到着
粟谷小屋に荷物を置いて、堂倉避難小屋を経由して日出ヶ岳に向かう
シャクナゲ平を過ぎて短い笹が茂る登山道を進む。木漏れ日に癒される
良い雰囲気でいつまでも見ていたい。
日出ヶ岳頂上が見えてきた。
頂上到着。頂上の碑が新しく設置されていた
正木嶺方面。大台ケ原の立ち枯れた木の理由は、
昭和34年の伊勢湾台風による大量の風倒木により土が乾き苔類が衰退したことと、大台ヶ原ドライブウェイの開通による公園利用者数の増加が合わさって後継樹が育たず衰退したらしい。
頂上から朝日を見てみたい。
粟谷小屋に戻ってきて水場。
粟谷小屋のお風呂。これまた気持ちいい!
粟谷小屋の夕食。旨し♬
こちらは朝食。
9日林道を歩いて登山道に入る
急登を下ってきて堂倉滝と堂倉滝吊橋。
大崩壊地を登山道上部から見るとスッパリと切れている。
崩壊地を真正面から見る
日が差すとエメラルドグリーンの美しさが際立つ
1979年に起きた吊橋事故で敗訴した環境庁は、これでもかと強固な吊橋を作ったと言われる
【雑感】
のんびりと登れた2日間だった。黒部峡谷とはまた違った形での迫力があり思い出に残る山旅でした。