下ノ廊下



2011/10/07


下ノ廊下またの名を旧日電歩道に行ってきました。


下ノ廊下(旧日電歩道とも呼びます)は黒部ダム建設のために日本電力(のちの関西電力)が黒部川の仙人谷〜黒部ダム間の断崖絶壁にわずかな隙間をうがつような形で建設された歩道で、現在も関西電力が整備を行っている。その整備とは通行可能な必要最小限にとどめられており、建設当時に比べてよくなったとはいえ、木材を数本渡しただけの桟道も多く、道幅は最狭部で80cmであり、数十メートル上下する木の梯子などもあり、熟練した登山者でなければ容易に通行できない。また、残雪がある程度消えてから整備を開始する関係から、一年の中で通行可能なのは残雪が無くなる夏の終わりから秋にかけての1〜2ヶ月のみである。



下ノ廊下に行く2・3日前から地震が続いていました。
----------------------------------以下新聞記事---------------------------------
5日夜、長野県北部を震源とし、富山県内でも揺れを観測する地震が立て続けに3回あり、立山町では震度3を観測しました。
5日午後7時ごろの地震では、地震の規模を示すマグニチュードは5.3と推定され、県内では震度3を立山町で、震度2を富山市や滑川市などで観測しました。
午後7時6分ごろにもマグニチュード5.1の地震があり、震度3を立山町で、震度2を富山市など広い範囲で観測しました。
立山黒部アルペンルートの高原バスの室堂駅では、3回の揺れたうち、1回目の揺れが大きかったため、軒下に駐車してあったバス1台を平地へ急遽移動させたということです。

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下ノ廊下に行く予定を立てて準備も大体終わった後に地震の情報が入ってきた。
しかし今回の震度は3程度でたいしたことないよと思ってしまった。
なぜなら、2年前の2009年(平成21年)8月11日に起きた震度6弱を記録した静岡沖地震の次の日に南アルプスの悪沢岳や赤石岳を歩いた時には、何の支障もなかったからです。


しかし、今回はまさかこんな結果になるとは想像すらしていませんでした


今回のルートは単独で、
自宅から車で扇沢⇒黒部ダム⇒下ノ廊下⇒阿曽原温泉(泊)⇒欅平⇒祖母谷温泉(泊)⇒欅平⇒トロッコ電車や電車を乗り継ぎ信濃大町⇒バスで扇沢に行き、車で帰宅の2泊3日の予定


6日夜に自宅を出発し、7日のAM1:00ころ扇沢に到着し車中泊。
扇沢から黒部ダムに向かうトロリーバスの始発がAM7:30なので、AM6:00に目覚ましをかけて仮眠。この時点で車が揺れるほどの暴風雨でした。


起床後は、トイレを済ませ着替えて切符売り場に並びます。東の空は晴れて日差しがあるが、上空は雲が厚く小雨が降っている。
切符売り場のおねえさんに、下ノ廊下は通れますか?と尋ねると、地震で落石はありましたが問題なく通れるとのこと。まあチョット揺れたんだから石も落ちるだろう程度しか考えが浮かばない。


7時30分に出発するトロリーバス待ちの列に並んでいると7時15分頃にわずかに揺れる地震を感じた。周りの人は気が付かなかったみたい。
(帰ってから確認すると7時21分頃大町で震度1)



 始発には観光の人と登山者が半々くらい乗っており、
黒部ダムに到着すると登山者の1/3ざっと30人ほどが下ノ廊下に向かう。














バスの道路を30mほど進むと下ノ廊下の入口がある。














表に出ると、チョッと陽射しが見えて、好天を期待する。














まずは、黒部ダムの下に出るため150mほど下るが,
登山道の至る所で、地震の爪痕が残っている。














急坂を下っていく登山者達














下りきると、黒部川をダム側から見て左岸に渡り、内蔵助谷出会に向かい歩き出す。














黒部ダムを見上げると観光放水がまだ続いている。














帰りに撮影










登山道には直径1m位から30cm程度の無数の落石の跡がある。
この時点でチョッとだけ不安を感じたが歩みを止めるほどではない。
 














 登山道を埋め尽くすほどの巨岩が・・・・・・・・














上部かのら無数の落石により木々がなぎ倒され、岩や石とともに木々が散乱している。














落石を避けるように登山者は進んでいく。














黒部川沿いの道に出る。














時期が時期だけに登山者はそこそこいる。














対岸を見ると、壁が崩落し黒部川を堰き止めるほどの土砂が流れ込んでいる。














押し流された木々も黒部川に浮かんでいる。














登山者は崩れた登山道を慎重に進んでいく。














濡れた丸太で作った橋を滑らないように慎重に進んでいく。














1時間ほど歩くと内蔵助谷出会に到着。
粒アンパンを1個食べ出発する。














昔に落石したような場所を進んでいく。














落石により、壊れた木道。
明らかに今回の地震によるもの。














沢山の土砂が登山道を埋め尽くすが、難なく進んでいく。














どんどん道幅が狭くなり、倒木等も越えて進んでいると、若い2人組が走って来て、先で怪我人がいるので連絡したいのですが無線を持っていませんか?
と聞かれ持っていませんと答える。
その時はふ〜ん先の方で怪我人がいるんだ・・・・程度にしか考えていません。


そこから20分くらい進んだ場所に現場がありました。
沢を中心に幅10mで落石が発生し、無数の石と落石によりなぎ倒された木々の葉が散乱している
石そのものの大きさはそれほど大きくなく、30〜50cm程度。
その沢の登山道から外れて数メートル下方に落石の中でうつ伏せにうずくまっている女性が居て、先に遭遇した登山者が確認した時点で亡くなっていたそうです。
その脇の登山道では頭と腕にタオルを巻きつけ血だらけになった年配の女性がいて、こちらの女性は意識がはっきりしており、亡くなった方をしきりに気にしている。
避難してる場所はまた落石が発生する可能性があり危険な状態であったため男性登山者6人揃ったところで、女性をエアーマットに乗せ安全な場所に移動。


次にその場の6人で遺体を引き上げようか相談しましたが、遺体の場所が不安定な場所にあったため遺体の落下と2次遭難の危険性があったので、諦めて救助隊に任せることとした。
この後は、一人の男性が救助隊が来るまで付き添うと言われたので、残りの5人はそれぞれ登山を続行した。


この女性2人のパーティーは前日に黒部ダムのロッジくろよん≠ノ宿泊し、5時過ぎに宿を出発し7時20分頃に落石にあったとのことでした。
私が、扇沢でトロリーバスを待っている時に感じた地震の落石に巻き込まれたようです。


遺体に手を合わせてからその場を後にした。
この時頭の中で、ここまで来るときに見た無数の崩落跡や、落石現場それに死傷者まででた現状を見てこれ以上進んでもいいのだろうか?この先崩落や落石に巻き込まれることは無いだろうか?とも考えましたが、自分だけは大丈夫と思い気を取り直して出発!


これが事故現場の脇です。落石により木々がなぎ倒され、無数の枝や葉っぱが散乱している。














狭くなった登山道にも容赦ない落石の跡














崩壊した登山道には、丸太で作った高巻きの登山道が作られている。














黒部別山沢を越えていく。














本格的な下ノ廊下に入っていく














ココにも落石の跡。 3mmのワイヤーを引き千切る落石現場。
狭い歩道では逃げ場がない。落石に当たるか20m以上下の川に落ちるだけ。。。。














歩道の作り方が凄い。。














頭上の岩が迫り出している。
これが落ちたらひとたまりもない。














 昔に崩れた場所を巻いていく














これこそ黒部渓谷といった感じ場所で、左右の崖が近い。














大きなザックは上の岩につっかえて歩きにくいし、足場も不安定。














 こんなデカい石が直撃したらと思うとゾッとする。
直撃を免れても重傷は間違いなし。














壁をくり抜いた感じ。














歩きながら途中でスリリングな下ノ廊下の写真や動画を撮りながら進んで、


そろそろ十字峡かなと思って歩いていると、急にゴゴゴー


地響きがして200mほど先の幅30m長さ100mほどの壁が猛烈な砂埃をあげながら
登山道を巻き込んで崩れました。


崩落直後の動画です。











しばらくして崩落現場の状況を確認するため現場まで行きましたが、
あまりに崩落の規模が大きすぎてはっきりと断言できませんが、
巻き込まれた人はいないと思います。

もし私が5分ほど先を歩いていたら完全に巻き込まれて死んでいました。














 
崩落現場
 













登山道はとても通行できる状況ではありません。
黒部川に降りることも、上を巻いて行くことも不可能で撤退するしかなく、
黒部ダムまで戻らなければなりません。

この時点でPM1:00。ここまで黒部ダムからの経過時間は5時間。
途中で救助作業を手伝ったので実質は4時間30分ほど歩いてきました。
黒部ダム発のトロリーバスの最終がPM5:30なのでギリギリ間に合うかどうかどうか。
しかも今まで下りだったので今度は登り返しです。



下の写真は、富山県のホームページから引用
 
















それからはほとんど休憩せずに4時間歩き続け、5時過ぎに黒部ダムに到着。
驚いたことに、帰りの道でも行くときには無かった大きな落石や、
落石に伴う倒木が多数発生していて時間を追うごとに状況が悪化していたのです。
帰り歩いている途中でも頭の上でゴトゴトと音を立てて落石が何度かありました。


命からがら引き返してきた感じです。


行く時にはなかった落石現場。















以下朝日新聞の記事です。
7日午前7時20分ごろ、富山県立山町の黒部峡谷下(しも)ノ廊下(ろうか)付近
(標高約1100メートル)で、新潟市秋葉区の無職石井あやさん(64)と同市西蒲区の
無職飯塚栄子さん(60)が、落石に巻き込まれた。石井さんは左足骨折などによる
出血性ショックで約5時間後に死亡。飯塚さんは肋骨(ろっこつ)などが折れる
重傷を負った。
上市署は同時刻ごろに起きた地震で落石があったとみている。

同署によると、飯塚さんは、地震が起きた直後に、登山道わきの山の斜面から最大で
直径約30センチの石が多数落ちてきたと話しているという。他の登山者が倒れている
2人を発見し、黒部ダムの監視小屋を通じて通報した。


亡くなった方ののご冥福を祈ります。



信濃毎日新聞より

仙人ダム近くの阿曽原温泉小屋を経営する佐々木泉さん(51)によると、5〜7
日にかけて続いた地震後、ルート上には至る所に落石があったという。7日には
新潟市の女性2人が落石を受けて死傷。高さ数十メートルの斜面が登山道
もろとも崩れ落ちるのを目撃した登山客もいたといい、「こんなことは初めて」。
客が見込めないため、今季は19日で小屋を閉めるという。

黒部ダムから湖沿いに上流に続く登山道(タンボ沢〜東沢谷出合約15キロ)でも
土砂や岩が崩れやすい状態で、5日から看板を出して注意喚起している。補修工事
を請け負う大町市の建設会社社員が6日に巡視したところ、「あらゆる斜面から石
が落ちている。登山道に亀裂が入った場所もあり危険」としている。







【雑感】
長く山に行っていると、こんなこともあるでしょう。
自分だけは大丈夫などと過信しないように気を付けないといけませんね。


来年登山道が修復され、通れるようになっていることを願います。
来年こそは阿曽原温泉まで行きたい。
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